最近、他大学の町家キャンパスの管理人さんと仲良くなりました。
私がよしやまち町家校舎管理人のよしやまち子というならば
京都学園大学新町町家キャンパス管理人の学園大まち子さんです。
そんなわけで先日、噂の町家キャンパス「新柳居」(名前がかっこいい!)に行ってまいりました。
呉服屋さんの立派な町家が多く残る新町通りにある町家キャンパス。
外から見ると厨子二階で、間口もそんなに大きくないように見えるのですが・・・
こりゃこりゃ、入ってみるとなんと大きな!蔵もあります!
町家キャンパスとして使用されているのはオモテ家の部分だけで、奥に大家さんもお住まいなのですが、
よしや町校舎のトオリニワの突き当たりくらいから、大家さんの玄関が始まるといった感じです!
この大家さんの玄関がまた、凛とした様子で素敵でした。
厨子二階の部分もプロジェクターなどでプレゼンが出来るような部屋になっており、
大学の素晴らしい設備環境にしばしオドロキ・・・
(いやいや、よしやまち校舎だって自慢の掘りごたつがあるもんね♪)
学園大まち子さんも、町家の魅力にはまってしまって行動を起こしている方です。
これからもなにかと共に町家を追求していけたら良いですね~♪
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ってなわけで、先日もまた学園大まち子さんと
楽町楽家イベントで公開中の町家、「佐藤家」に行ってまいりました。
想像していたより小ぶりな、かわいらしい、しかし魅力ある町家でした。
SDCの学生さんたちによる、改修案コンペが展示してありました。
さすがデザイン系の学生さん。きれいなパース、模型も細部まで丁寧に作ってあり、家主の佐藤さんにも思いが伝わったのではないでしょうか?
先日魚谷先生のゼミ見学に同行し、京都まちなかこだわり住宅を見せていただく機会がありました。この建物は本校講師の魚谷先生が設計に参加し、京都まちなかこだわり住宅設計コンペで最優秀賞に選ばれ、実際に
若手設計者が建てた新しい京都にふさわしいすまいという事で、町家を愛しこれからの日本の住まいを考える私としては以前から気になっておりました。噂によると日本風というより思いっきりモダンで、京都の伝統産業とのコラボレーションもあるということ、スタイリッシュなモダンに濃い伝統産業ではバランスが取れるのだろうか?などなど想像しながら現地へ向かいました。
まず、外観。パンフレットなどで何度か目にした事があります。京都を意識するとこうなるんだろうなという前面木格子、庇を周辺隣家と合わせてありますが、結構迫力があります。前庭の半分は石砂利が敷き詰めてあり、一見おしゃれなお店のようです。個人的には表側にも植物など生活感を感じるやわらかな印象が欲しいなと思いました。これから住まい手さんが味を出していかれるかもしれません。
中に入るとそのまま土間スペースで、机が置いてあり事務所のような部屋。
住まい手さんはデザインのお仕事をされているらしく、インテリアが建物にぴったり合っていて素敵でした。ここは本来はガレージとして設計されたらしいのですが、もったいなくて車は別の駐車場を借りて置いているそうです。確かにガレージにはもったいない空間です。外は雨が降っていたので靴下で土間を歩かせていただきましたが、不思議な事にコンクリートの土間床は暖かく、基礎で断熱しているからと教えて頂きました。
正面奥は庭があり、壁一面大きな吹き抜けの窓になっています。
よくテレビで見る建築家の建てた家で表側のリビングに吹き抜けの大きな窓がついているのをちっともよくないと思っていたのですが、庭に面したこの窓はとても居心地がいいなと思いました。それというのも、ここのお庭は森の雑木林のような雰囲気で、部屋うちまで繋がっているようで心が静まります。晴れた日はもっと光がきれいなんだそうです。私がここに住んでいたら一日中この部屋で過ごすと思います!他の学生も言っていたのですが、窓の外をみていたらここが京都の街中というのを忘れそうになりました。京都らしさがコンセプトなのに京都じゃないみたいというのは可笑しいなと思ったんですが、もともと古来京都の町の家というのは町にありながら庭で山と繋がっている、市中の山居であったはずなので、一番京都らしい要素なのかもしれません。
居心地の良い土間スペースの吹き抜けが、そのまま二階のリビングにつながっています。
真横にダイニング、キッチンと続き、表側の窓からは格子越しにおもての家並みが見えます。それがまた味のある絵のような京都の風景だったので、表側は京都と繋がっていて、裏側は森と繋がっているというなんとも不思議な家だなぁと思いました。
細かい部分ではクーラーの目隠しが建物の雰囲気に合わせて作ってあったり、
かと思えばキッチンにダクトの管が丸見えだったり。これはメンテナンスの時にすぐ対応できるようにとの設計のこだわりだそうで、なんでも壁や天井の中に隠されて見えない今の家のようにはしたくなかったからということです。そう言われればこの建物の主な壁は集製材のコンクリートのような厚い板の塊で出来ていて、シンプルな部材露わしの意匠も、伝統的な木造家屋との共通要素かなぁと勝手に共感していました。嘘がない素の建築っていいですよね。土間の間仕切りとして使われていた分厚い四枚戸が、引き込んでしまえば壁のように目立たなくなるのも面白かったです。
その他気になっていた伝統産業とのコラボレーションですが、西陣織でもアジアの民族布の様なものであったり、漆でもざらついた物、畳でも片縁にしてみるなど、想像していた伝統産業とはまったく違って魚谷流になっていました。伝統産業と言っても、ひとつではなくこんな事も出来るんだという事が認知されればと思います。
階段ホールに付けられた特別細く長い北山杉ののぼり棒には学生も喜んで滑り落ちていました…。
というわけで、最初想像していたものとはまったく違う印象でした。生意気に色々言ってしまいましたが、実際行って感じなければ分からない良さや驚き、工夫がたくさんあり、同じ建築を目指すこれからの世代としてとても刺激され勉強になりました。やっぱり土間はいいと思ったし(そのかわり玄関ホールはいらない派)、町なかで山(自然)と繋がるひとつの実現例や、京都の古いものをこれからの人に魅力的に見せるヒントがここにはあるような気がしました。
最後に、住んでいる方がこの家の良さをさらに引き出しているなぁというのを感じました。
お忙しい中見学させていただき本当にありがとうございました。