先日、取り壊される予定の町家を見学させて頂く機会がありました。
四条通りのすぐそばの老舗の呉服関係の商売をされていた町家で、奥に立派な蔵や数奇屋風の離れもあり、大変立派な歴史ある町家でした。
しかし家というのは住まい手の変化を敏感に感じ取るものなのでしょうか、「取り壊すと決まってから、急に家が荒れだした。どうしてこんなところに、というところに埃が溜まっていたりして…」と家主さんがおっしゃっていたのがとても心に残りました。
人が住むと、家には命が宿るんでしょうなぁ。
↑縁側で見つけた、気になるもの。これ、なーんだ?
ヒント:曲げた竹の棒と2本の竹で出来ている。縁側の軒先から吊るしてありました。
インコがとまっていそうな場所ですが、そうではありません。
これは・・・!
私は見た瞬間に、大好きなエドワード・S・モースの著書「日本のすまい」を思い出しました。
ぽわわ~ん・・・
これは!まさしく竹のタオル(てぬぐい)かけ!
モースの「日本のすまい」では、江戸から明治の日本の質素で清々とした庶民の暮らしや住まいが
外国人の目から驚きをもって事細かにスケッチと愛に満ちた文で記録され、紹介されています。
私は特に日本の伝統的な洗面所が好きで、自然の水や光をうまく感じられる造りになっていると思うのです。
朝、外の緑を感じながら冷たい水できりりと顔が洗えたら一日の始まりがなんと幸せか…(妄想)
このタオルかけなど、竹を使った身の回りの道具は本当に素晴らしい。
【モースによるタオルかけの記述】
「タオルかけは、ごくかんたんな構造のものまで、注目にあたいする。いろいろな形のものがあり、ほとんどが素朴なデザインで、いずれもつりさげる様式をとっている。(中略)半円をえがく竹の両端に、二本のふとい竹をとりつけ、したの竹は固定させ、上の竹は上下に動くように作り、この2本の竹の間にタオルをかけてはさむものもよく見られる。これは上の竹の重みがタオルを押さえるわけだ。」
実物を見つけ、感動したあまり記念に頂いてしまいました。
家に帰り、早速埃を洗い引っ掛けてみると
てぬぐいの幅にぴったり作られていることにも嬉しくなり。
いつかまた縁側と庭のある家に住んだら、軒先にぶら下げたい。
この手ぬぐいかけは縁側でぷらぷらと、陽の光に当たりながら
風に揺れている姿が一番似合うでしょう。
モースは手ぬぐい(彼はタオルと呼ぶ)についてもこう感想を述べています。
「タオルは木綿やリネンでつくられ、たいてい紺色で、スケッチ風の濃淡模様がプリントされていて、たいへんかわいい。」
私とモースは気が合うと思います。
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