ちかごろ驚くことが続きます。
みな様、飲み屋のビルが並ぶ木屋町通の高瀬川沿いにある、不思議な電気屋さんをご存知でしょうか。
看板には「数奇屋照明電気材料大卸・タチバナ商会」
店内からもれだしている照明の光、いや「あかり」は暖かなオレンジ。
元々は古い炭屋倉庫だったという町家の中に
懐かしい日本の照明が店内狭しとぶらさがり、
基本はちゃぶ台の食卓の上に付くような懐かしい乳白色のガラスの照明。また町家の玄関に多いぽっかり浮かぶ丸い鶴首ライトや、老舗旅館で見たような行灯、木の電柱についているようなアルミの電気笠、お医者さんが良くつけていた赤いガラスの球・・・などなど「ああ、自分はこういうあかりを探してたんだ、なんでこんな素敵なものが今作られていないんだろう」と疑問がわいてしまうほど。
それと同じぐらい店内にたくさんぶら下がっているのは店主のおじさんの熱いコメント。
「(この照明をつけたら)みかんがウマイ」
という灯り一つ一つの説明モノ?や
「思い出してください人情の厚い日本
美しい風景の日本の姿」
という思いのこもったコメントまで
見ているだけで楽しく、色々な感情が出てきます。
白々しく目の痛いホームセンターの照明展示場で蛍光灯を選んでいるのとは、わけが違うのです。
あなたの人生に、暖かいものをひとつプラスするのです。
家の蛍光灯をここの灯りをひとつ買って付け替えてみてください。
その日から、奥さんがやさしくなります。(店主談)
おじさんは言いました。灯りで日本を良くしたい。変えたいと。
ここの灯りじゃ昼間ちょっと暗い?
家が暗いなら外に出かければいい。
夜も暗くて仕事が出来ない?
家は休むところ。夜は寝る時間。
日本人はそういう生活をしてたんだよ。
蛍光灯は人間を家の中に閉じ込もらせる。見なくていいところまで見えてくる。
白熱灯は暖かな黄金色で人を、家を、風景を浮かび上がらせる。
日本の家庭にまた暖かな灯りがともれば、おかしな犯罪も少なくなると思う。
ひやかしは嫌い、でも同じ熱い思いを持ったお客さんにはとことん熱く、やさしく、照れながら自分の思いを語る店主のおじさん。
そんな京都の、日本の大事な電気屋さんが
この春、木屋町から姿を消します。
81年間この町家を借り、営業されていたのですが、この6月取り壊され、ビルに建て替わってしまうそうです。
そんなばかな。
京都はアホやなぁ。大切なものはなんなのか、どんな日本の社会を作りたいのか。
今だからこそ、考えてほしい。
灯りも、町家も、銭湯も、路地も・・・
懐かしいと思うことは、ほっとすること。
昔のもの、古いもの、懐古趣味、時代遅れと簡単に片付けないで、見直してください。
シンプルで、素朴で、頑丈で、やさしく、よっぽどおしゃれで、想像力に富んだ、日本が作ってきたもの。
なにか社会全体が日本の暖かい文化を根絶やしにしようとしているんじゃないかと思ってしまう近頃です。
一度この暖かな灯りを見に来て、人生変えてください。
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