先日11月14日に、今年度市民講座の第二回目
畳職人
中村勇三氏による講演と実演、「生きている本当の畳」が
よしやまち町家校舎にて行われました!
気になるタイトル…「生きている本当の畳」って何だろう?!
私たちが知っているのは本当の畳じゃないの?!
そんなギモンを浮かべつつ、興味深々で参加しました。
前半は講義にて畳の歴史やヘリの話、い草が畳に出来上がるまでなどを教えて頂きました。
日本では当初畳は高貴なもので、身分の高い人しか使えなかったそうです。
庶民はムロなどを敷いていたんですね。
ヘリで格を表していたとは初めて知りました。
そういえば、実家のお雛様は綺麗なヘリの畳に座っていたなぁ~。
←ヘリの見本いろいろ
茶道や茶室の普及とともに、部屋に畳を敷き詰めることが庶民にも広まりました。
町家と畳は切っても切れない関係!
しかし、近年改修された町家を見に行くと、
畳の部屋を無くして板敷きにされているところが多いようです。
いくら江戸時代の町家でも、これじゃあ平安時代の町家に逆戻りでっせ、と中村さんは笑っておられました。
畳は敷いておくだけで断熱、調湿、断音効果に優れているので
床下が冷えたり、音が響きやすい町家にはぴったりなのにもったいないことです。
そして現在の畳と生きている畳の違い。
元々は自然素材で出来ていた畳が、現在は化学繊維が主流になってしまっているそうです。
それというのも、最近は良質のい草が取れなくなってしまったそうです。
私はい草の田んぼ・田植え・収穫風景を見たのも初めてだったのですが、本当にきれいでした~。(い草の別名は青いダイヤモンド!)
今の「畳もどき」の畳は硬いものが多いですが、昔は本当にやわらかく、畳の上で正座をしても痛くないとか!
さて、後半は作業場に移動しての、畳製作の実演です。
学生達も実際に畳職人の手縫いの仕事を体験させていただきました。
(コツを伝授してもらいながら…) (お裁縫の指ぬきの役割をする仕事道具です)
大きな針で畳を上下に縫ってヘリを付けていく作業なのですが、これがなかなか難しい!
目見当で狙ったところに針を上げるのは、何度やってもうまく行きません。
しかも、縫い目がずれていたり、ゆるいままだと裏返した時にヘリの模様がきれいに出ません。
でも、藁の詰まった畳はとってもやわらかかったです~!!
さらに様々な畳表を教えて頂きました。
実際に見ると、手織りと機械織りでは見た目もさわり心地もまったく違うんですね!
手織りの方がムギュムギュとしていて若干厚く、弾力性がありました。
機械織りは織り目が均一で薄く、少しペタッとした感じがありました。
↓どちらがどちらか分かりますか?
それから少し珍しい畳表。
琉球畳(左写真)と中継ぎ畳(右写真)です。
琉球畳は縫い目が細かく、い草の種類が違うのか自然のムラがあり素敵でした。
中継ぎ畳はい草の長さが足りない時に真ん中でい草を継いで織ったものだそうです。
とても珍しく、京都では杉本家住宅のダイドコに使われているそう。
最後に私がとてもおもしろいな~と思ったのは、
職人さんが畳を縫うのに使っている糸。
昔は麻糸で現在はナイロン製に代わってはいますが
一定の長さに切られた物が、畳表のケースの中に束ねて入っています。
ちなみに糸の両端はこのように片方が輪になっています!(写真↓)
そして見ていてくださいよ~!
職人さんは縫っていて糸が短くなると、ひょいっ、くるくるっと新しい糸を絡ませて、
一本の糸に繋いでしまうんです!
玉結びしてしまうと引っかかってしまうので、今でもこんな繋ぎ方をされるそうです。
これってどこかで見たことありませんか~??
そう、土壁の竹小舞を編んでいる時の縄の繋ぎ方とそっくりです!
昔の職人さんってみんなこういう事をしていたんですね~。
なんて賢いのでしょうか!
これだから伝統建築はやめられません。
現代人は既製品に慣れてしまって手仕事の可能性を忘れてしまっていますね。
たくさんの事を感じた一日でした。
中村さん、中村三次郎商店の職人さん、本当にありがとうございました~!!
(よしだ)
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