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ひぐらしメモ

京都の小さな建築屋さん「日暮手傳舎」の日々です。
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東寺町家作業・町家の線引き

今週も土曜日に作業を行いました。
工務店さんのアドバイスでお風呂の下地にサンドモルタルを塗る事に。
プロには見えない私達がちょこちょこ何度も材料を買いに行くので
すっかり材料問屋さんにも覚えられてしまい、「まだ材料いるんか?もう完成か?」と
声をかけられて、最近は買いに行くのが恥ずかしいです。

お施主さんもすっかり荒壁塗りが得意になりました。
J君とS君はここのところ根性のいる浴室担当…。セメント左官技術は私よりずっと上手いです。(土壁は負けませんよ!!)

RIMG0524.JPG


一年生木工担当O君は何度も失敗しながらも、ついに敷居を入れる事ができました。
最後は大工さんに細かいアドバイスを受けていましたが、何かつかむものがあったかな?
M君が丁寧にゆがみを合わせてくれた二階の床板ももうすぐ張り終わります。
やっぱり床が入ると部屋らしくなりますね!

さて今回はガレージ棟の西壁の工事のために
お隣さんの敷地からボロボロの西壁の状態を見せていただく事が出来ました。
正面から見るとますますすごい状態です・・・。

この東寺町家は町家の歴史の中では一番最後、昭和初期の建物で
コンクリートの布基礎に土台があり、いわゆるひとつ石基礎の伝統軸組構法ではありません。
トオリニワの吹き抜けには火打ち梁もあり、西側から外壁を見ると筋交いがありました。
これは大正以降の町家によく見られ、在来軸組構法に近いものです。

7be9aeec.jpeg

町家の定義って何?と聞かれたとき、
よく「戦前木造伝統軸組構法で建てられたもの」と言うことがありますが
じゃあ東寺町家は町家じゃないの?と言われると困ってしまいます。
京町家まちづくりファンドの条件など見ると
「昭和25年以前に建てられた木造建築物」とありますし、
木造で町家の伝統意匠を引き継いでいる物ならば、町家と呼べるのではないでしょうか。
私達も「町家」のカテゴリーにこだわらず、魅力的な日本の庶民の建物を守っていきたいと思っています。
それが住まい手さんの愛着ある建物ならなおさらですよね。

とはいえ、再生可能な材料を使う伝統軸組構法が平安時代から続く町家の基本で、日本木造建築の大きな魅力であることも改めて実感しています。

改修工事でどんなに辛い事や困難があっても、やめられないと思うのは
自分の知らない時代の誰かの手で建てられた建物が常に何かを語りかけてくるからです。
工事中、床や壁や柱と向き合うとき、いつも建物が建てられた時代の痕跡があります。
柱に穴を開ける時などはとても勇気がいります。
下手な工事をしたら誰かに怒られそうなのです。
誰かって、もちろんお施主さんや先生という意味ではなくて(笑)
私よりずっと長く生きている家の固い木たちは魂が宿っていそうですよね。
大黒柱・恵比寿柱など神様の名前がつけられるのもそのせいでしょうか。
土壁の竹小舞は柱に傷を付けるのが最小限だということに気付いた時は、
またしても先人にしてやられたな~と思ってしまいました。
改修工事は昔の人との勝負でもあります!


12月に入り急激に寒くなりました。
みなさま暖かい物を食べて風邪を引かないようにしてくださいね!

a104affd.gif(お駄賃袋の顔もちょっと弱り顔のよしだより)
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東寺町家お風呂作り後半

作業に追われてなかなか東寺町家改修の報告ができていませんでした。
どうなったの?と思われている方も多いかと・・・。
年末までに引越し!を目標にセルフビルドで頑張っていたのですが、
週に一回の学生作業ペースではなかなかそうもいきません。
それでも平日来られる日は頑張って、ようやくここまで来ることができました。
詳しくは淡交社より出ている「キョースマ!」という雑誌に連載されています。
良かったら手にとって見てください。

とにかく難航したのが新しいお風呂作り。
途中天井を剥がしてやり直したり、モルタル作業が終わらず二日連続朝から晩までコテを握ったり。
水道屋さんを長いことお待たせしながら、先日ようやく浴槽を据え付けることができました。
無事浴槽の入った写真を撮るのを忘れてしまったので、作業中の写真を・・・。

RIMG0455.JPG

あまりの私達のノロノロぶりに見てられん!と熱い力添えをくださったK崎さん、H口さん、H本さんご兄弟、本当にありがとうございました。

それに引き換え脅威のスピードで進んでいるのが11月からはじまったガレージ棟の工事。
学生達のいない平日の間に工務店さんがどんどんお仕事されています。

RIMG0457.JPG

間仕切りの解体も終わり、現在左官屋さんがガレージの土間を作っているところ。
誰にでも人懐っこく話しかけるのが得意な一年生トモちゃんは、さっそく左官屋さんに質問攻撃…
「あのサイコロみたいなのはなんですか~?」
「あれを網の下に入れて持ち上げて土間コン流すと、頑丈になるんやぁ」
「なるほど~」
最終的にはアルミサッシは撤去し、奥に見える綺麗なベンガラ色の腰板が外壁になります。
これはベニヤを剥がしたら残っていた物で、このあたりの町によく見られるしっかりしたものです。

さて、私達もお風呂以外では新しい壁や床を作っていく作業に入っています。
下の写真はダイドコの床下に断熱材をつけているところ。
ここは昔板張りで、お施主さんから「おじいちゃんが囲炉裏を作ってはった」と聞いていました。
床をめくるとちゃんとレンガで囲炉裏を囲った跡が出てきましたよ♪

RIMG0453.JPG

庭で作っているのは壁に塗る荒壁土です。古土と混ぜてだいぶ放って寝かせて置いたのでものすごいにおい!
「くさい~くさい~」あまりの臭さに混ぜていると倒れそう!!
でもコレが、微生物が発酵した良い土の証拠なんです。
塗ってみるとなるほどふわふわと竹小舞にしっかりくっつきます。
ドブのにおいみたいってよく言われるんですが、そう考えたらドブに溜まってる土ってよく発酵してて良い土なんだろうか?

さぁ、やっと仕上げ工事に入れます!
といっても肝心の建具が入ってなくて、現場はとっても寒いです・・・。
木工班、頼りにしています!

RIMG0484.JPG おまけ

作業した学生達にはご飯代と銭湯代をいただいているのですが、
ぽち袋にお施主さん手書きのかわいい似顔絵が♪がんばるぞー

東寺町家6月解体続き

またまたご無沙汰しています。夏休みも終わり新学期が始まってしまいました。
ぼちぼちと東寺町家の進み具合を報告したいと思います。

前回までのあらすじ…
5月から本格的な作業をスタートし、まずは昭和の時代に新たに設置、改修されたと思われる
ベニヤ板の壁や浴槽を解体、撤去!果てしなく出る解体ゴミの量に一同あぜん・・・
しかし、新たに広くて素敵なお風呂場&キッチンを作るためには、
まだまだカナヅチ片手にぶち抜いて行かなければいけない試練があるのであった…!!

さて6月に入り、今まであったお風呂、トイレは壁と床が撤去されこんな状態に↓
989d0dc2.jpeg

床を掘り進めていると、この家が建った当初にあったと思われるタイル張りの便所の床があらわれた。
タイル好きの私やお施主さんとしては喜びのひととき。
しかしこの状態で何に使えるわけでもないので、無情にも解体は進んでゆくのであった。

夏休み前から一年生も来てくれていて、一気に作業が進む。
この日はお風呂場の解体と同時に縁側の解体と庭の掃除も行いました。
5a245caf.jpeg
↑懐かしい柄のフロアマットとベニヤをはがすと昔の縁側が登場。
それにあわせて延ばしてあった縁側の幅を元に戻すことに。庭が広くなるねぇ~。

↓庭は土が盛り上がってガラクタだらけ。タコのように根っこの伸びた切り株がふたつも。
これでは雨が床下の方に流れてしまって、たいへん!
d27827f5.jpeg
一年生3人が本当に頑張ってくれて、きれいに平らな庭になりました。
ここはお風呂の窓から見える庭なので、緑が欲しいねぇ。

↓ここで頼りになる水道屋さん登場。現状を見てもらって新しい配管の相談をします。
76f75921.jpeg
お施主さんは台所のでっぱったコンクリートをはつっています。目にも留まらぬ早業!!↑

さてさて、そろそろ新しいお風呂を作っていく過程に入れそうです!
あぁ~、ガラゴミを運ぶのは重いよ~。

東寺町家水周り解体

ごぶさたしています。更新をサボっている間に季節は春になり、新入生達がたくさん入ってきて学校もにぎやかです。
町家研究室の新たな改修作業もスタートしています!以前相談を受けた東寺の近くの町家です。

「前回までのあらすじ」・・・
構造はしっかりしているため、ほぼ内装、キッチン、お風呂など水周りの改修が主となった!
やる気満々のお施主さん達とともにまずは部屋中を覆っている木目プリントのベニヤ板をはがし、
天井をめくり、元々の町家の姿に戻す解体作業からスタート!

3d78cddd.jpeg

↑ハムスターの様に無心にトイレのベニヤを剥がすTさん。

次第に土壁、美しい赤べんがらで塗られた元々の大和天井や柱が現れてきました。ワーイ。
梁や柱に刻まれたホゾ穴から、建てられた当時の間取りも推測されます。

古い台所も撤去し、簡単に改修プランの方向性を決めました。
この町家は隣に同時期に建てられた同じ間取りの貸家があり、比較的改造されないまま残っているので
元々の間取りを推測することができます。

さて、続きましては浴室、トイレ棟の撤去です。
この浴室はお施主さんのお祖父さんの時代に増設されたもののよう。
とても小さいので足の伸ばせるお風呂にしたい~!というお風呂好きのお施主さんのこだわりポイント。
現時点では位置関係も悪いので、プランを変更し、明るく快適な水周りにしたいですね。

コンクリートやモルタル、タイルで固められた浴室を
チッパー(ドリル)やバール、ハンマーでひたすら解体!!
ぱっと見るとコンクリートの塊に見える浴室も、壊してみると木の下地で枠を作ってあり、金網や防水シートの上にモルタルが塗ってある事が分かります。勉強になるなぁ~。

琺瑯製の小さな浴槽を傷つけないよう救い出し(その後大宮町家へ搬送されました)
その日の作業は終了。

7fd6592f.jpeg

続く作業日はさわやかな晴天!東寺町家のツタも絶好調!(取らにゃ!)
まだ大勢でかかれる作業でないのと、学校から距離があることもあって二年生が来てくれています。
お施主さんの友人の方も手伝いに来てくれました。

崩れた壁の塊はガラゴミになります。
壊してはガラを詰め、壊してはガラを詰め・・・
袋に入らない大きな破片はハンマーで小さくして、また詰めて・・・

752d78fc.jpeg

そのガラの大量なこと!!詰めても詰めても減らず、用意したガラ袋にどんどん詰まっていきます。
満杯に入れてしまうと重くてとても持てません。ひぃ~。

「お風呂1つ壊すのにこんなに大変でこんなにゴミがでるの~!」とはお施主さんの言葉。
それは手作業で壊しているから大変で当たり前で、機械で壊せば簡単なのでしょうが、
だからこそガラ袋の重さや、軍手していてもちくちく刺さる金網のつらさが身に染みます。

「なんて人にやさしくない素材や…」
その点、土壁はすごいなぁ~、繰り返し使えて、こんなゴミが出る事ないもんなぁ~、
昔の人はすごいな~、今の人ってアホやなぁ~、
なんて言いながら、ひたすらガラをまとめました。
私は私で、やっぱり解体って大事やなぁ~。勉強になるなぁ~と思いました。
素材が実感できる貴重な作業です。

4.JPG

台所がガラ袋でいっぱいになったところで終了。暗闇に浮かぶ不気味なガラ袋たち・・・。
浴室の下に詰まっていた土や木の枠も撤去し、次回は細かい実測をしていよいよ水回りの設計です!

余談ですがこのガラゴミ達、産業廃棄物となる運命です。
ゴミを持っていってもらうトラックを呼ぶにも1回3万円ほどかかります。
お財布にもやさしくない素材ですねぇ~・・・

出動!!

先日、町家研究室に新たな町家改修の相談があり、
早速現場へ、さの先生率いる研究室メンバーが出動しました!

CIMG7380.JPG

場所は東寺の西の辺。
二軒の大家借家の連棟で、総二階のかしき造りの町家です。
大家棟は外壁が現代風にモルタルとタイルで改修してあり、
借家棟はつたが絡まり一見オバケ町家?!といった感じ。
玄関の扉を開けると、ん…?何か首筋に触れるものが・・・

CIMG7393.JPG
(ぎゃ~!って、上から植物の根っ子が!!?)

CIMG7410.JPG奥行きはそれほど長くなく、間取りも比較的新しい時代の町家です。
色々近年の改修の跡が残っていて、なんだか不思議な空間が!
でも、昔ながらの意匠も多く、良い雰囲気です。
メンバー達はすっかり「いいね~」とはしゃぎだします…。

家主さんは、せっかくなら自分達で楽しみながら改修したい!
という思いを持っておられ、工務店に頼んだところ、
●見積もり金額の大きさにびっくり、
●自分たちが作業に関われない、
●町家の風情の理解が少ないため、古い物を生かしたい意向がうまく伝わらない…、

うーん、これは、町家をお持ちの方から良く聞く話です。
けど、研究室としてはこういう思いを持っておられる家主さんのお役に立ちたい!
もっともっと庶民的で、力強い町家応援衆?になれたらと思っています。

CIMG7430.JPG幸い建物自体の骨組みはしっかりしており、
内装工事がほとんどになる予定。

余裕があれば外観を町家に戻したいのですが???

はてさて、どうなることやら・・・。
家主さんは大宮町家のブログもよく見てくださっているようで、
「更新止まってるよ~!早く大宮町家完成させてね~♪」
が…、がんばります~!





 

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