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ひぐらしメモ

京都の小さな建築屋さん「日暮手傳舎」の日々です。
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東寺町家水周り解体

ごぶさたしています。更新をサボっている間に季節は春になり、新入生達がたくさん入ってきて学校もにぎやかです。
町家研究室の新たな改修作業もスタートしています!以前相談を受けた東寺の近くの町家です。

「前回までのあらすじ」・・・
構造はしっかりしているため、ほぼ内装、キッチン、お風呂など水周りの改修が主となった!
やる気満々のお施主さん達とともにまずは部屋中を覆っている木目プリントのベニヤ板をはがし、
天井をめくり、元々の町家の姿に戻す解体作業からスタート!

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↑ハムスターの様に無心にトイレのベニヤを剥がすTさん。

次第に土壁、美しい赤べんがらで塗られた元々の大和天井や柱が現れてきました。ワーイ。
梁や柱に刻まれたホゾ穴から、建てられた当時の間取りも推測されます。

古い台所も撤去し、簡単に改修プランの方向性を決めました。
この町家は隣に同時期に建てられた同じ間取りの貸家があり、比較的改造されないまま残っているので
元々の間取りを推測することができます。

さて、続きましては浴室、トイレ棟の撤去です。
この浴室はお施主さんのお祖父さんの時代に増設されたもののよう。
とても小さいので足の伸ばせるお風呂にしたい~!というお風呂好きのお施主さんのこだわりポイント。
現時点では位置関係も悪いので、プランを変更し、明るく快適な水周りにしたいですね。

コンクリートやモルタル、タイルで固められた浴室を
チッパー(ドリル)やバール、ハンマーでひたすら解体!!
ぱっと見るとコンクリートの塊に見える浴室も、壊してみると木の下地で枠を作ってあり、金網や防水シートの上にモルタルが塗ってある事が分かります。勉強になるなぁ~。

琺瑯製の小さな浴槽を傷つけないよう救い出し(その後大宮町家へ搬送されました)
その日の作業は終了。

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続く作業日はさわやかな晴天!東寺町家のツタも絶好調!(取らにゃ!)
まだ大勢でかかれる作業でないのと、学校から距離があることもあって二年生が来てくれています。
お施主さんの友人の方も手伝いに来てくれました。

崩れた壁の塊はガラゴミになります。
壊してはガラを詰め、壊してはガラを詰め・・・
袋に入らない大きな破片はハンマーで小さくして、また詰めて・・・

752d78fc.jpeg

そのガラの大量なこと!!詰めても詰めても減らず、用意したガラ袋にどんどん詰まっていきます。
満杯に入れてしまうと重くてとても持てません。ひぃ~。

「お風呂1つ壊すのにこんなに大変でこんなにゴミがでるの~!」とはお施主さんの言葉。
それは手作業で壊しているから大変で当たり前で、機械で壊せば簡単なのでしょうが、
だからこそガラ袋の重さや、軍手していてもちくちく刺さる金網のつらさが身に染みます。

「なんて人にやさしくない素材や…」
その点、土壁はすごいなぁ~、繰り返し使えて、こんなゴミが出る事ないもんなぁ~、
昔の人はすごいな~、今の人ってアホやなぁ~、
なんて言いながら、ひたすらガラをまとめました。
私は私で、やっぱり解体って大事やなぁ~。勉強になるなぁ~と思いました。
素材が実感できる貴重な作業です。

4.JPG

台所がガラ袋でいっぱいになったところで終了。暗闇に浮かぶ不気味なガラ袋たち・・・。
浴室の下に詰まっていた土や木の枠も撤去し、次回は細かい実測をしていよいよ水回りの設計です!

余談ですがこのガラゴミ達、産業廃棄物となる運命です。
ゴミを持っていってもらうトラックを呼ぶにも1回3万円ほどかかります。
お財布にもやさしくない素材ですねぇ~・・・
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さようなら?!木屋町の電気屋さん

ちかごろ驚くことが続きます。

みな様、飲み屋のビルが並ぶ木屋町通の高瀬川沿いにある、不思議な電気屋さんをご存知でしょうか。

看板には「数奇屋照明電気材料大卸・タチバナ商会」
店内からもれだしている照明の光、いや「あかり」は暖かなオレンジ。

0510062309.jpg
元々は古い炭屋倉庫だったという町家の中に
懐かしい日本の照明が店内狭しとぶらさがり、

基本はちゃぶ台の食卓の上に付くような懐かしい乳白色のガラスの照明。また町家の玄関に多いぽっかり浮かぶ丸い鶴首ライトや、老舗旅館で見たような行灯、木の電柱についているようなアルミの電気笠、お医者さんが良くつけていた赤いガラスの球・・・などなど「ああ、自分はこういうあかりを探してたんだ、なんでこんな素敵なものが今作られていないんだろう」と疑問がわいてしまうほど。

それと同じぐらい店内にたくさんぶら下がっているのは店主のおじさんの熱いコメント。


「(この照明をつけたら)みかんがウマイ」
という灯り一つ一つの説明モノ?や

「思い出してください人情の厚い日本
 美しい風景の日本の姿」
という思いのこもったコメントまで

見ているだけで楽しく、色々な感情が出てきます。
白々しく目の痛いホームセンターの照明展示場で蛍光灯を選んでいるのとは、わけが違うのです。
あなたの人生に、暖かいものをひとつプラスするのです。
家の蛍光灯をここの灯りをひとつ買って付け替えてみてください。
その日から、奥さんがやさしくなります。(店主談)

おじさんは言いました。灯りで日本を良くしたい。変えたいと。
ここの灯りじゃ昼間ちょっと暗い?
家が暗いなら外に出かければいい。
夜も暗くて仕事が出来ない?
家は休むところ。夜は寝る時間。
日本人はそういう生活をしてたんだよ。

蛍光灯は人間を家の中に閉じ込もらせる。見なくていいところまで見えてくる。
白熱灯は暖かな黄金色で人を、家を、風景を浮かび上がらせる。
日本の家庭にまた暖かな灯りがともれば、おかしな犯罪も少なくなると思う。

ひやかしは嫌い、でも同じ熱い思いを持ったお客さんにはとことん熱く、やさしく、照れながら自分の思いを語る店主のおじさん。


そんな京都の、日本の大事な電気屋さんが
この春、木屋町から姿を消します。

81年間この町家を借り、営業されていたのですが、この6月取り壊され、ビルに建て替わってしまうそうです。

そんなばかな。

京都はアホやなぁ。大切なものはなんなのか、どんな日本の社会を作りたいのか。
今だからこそ、考えてほしい。
灯りも、町家も、銭湯も、路地も・・・
懐かしいと思うことは、ほっとすること。
昔のもの、古いもの、懐古趣味、時代遅れと簡単に片付けないで、見直してください。
シンプルで、素朴で、頑丈で、やさしく、よっぽどおしゃれで、想像力に富んだ、日本が作ってきたもの。

なにか社会全体が日本の暖かい文化を根絶やしにしようとしているんじゃないかと思ってしまう近頃です。

一度この暖かな灯りを見に来て、人生変えてください。

かなしい路地

IMG_0638.JPG突然ですが私は大好きなみかんの木の生えた木造アパートに住む事が夢でした。もしくは畳と木製建具のはまった小さな長屋住まい。一人暮らしをするなら絶対にこんなん!と決めています。でも、先日とても悲しい事があったので聞いてください。

学校の近くで物件を探していた私は、以前から気になっていたみかんの木の生えた路地の中に、木造アパートがある事を発見しました。お向かいには町家が並び、そこだけぽっかり明るくて、こんなところに住めたら素敵だなぁ~と思っていました。

後日、勇気を出して大家さんに聞いてみよう!と路地を訪ねました。するとおじさんが引越し中で、ここのアパートって空いてますか?と聞いてみると「空いているけれど、もう残り一軒しか住んでいないし、新規は無理じゃないかなぁ」引越し中のおじさんも、大家さんに言われてもうこの路地を出るのだということでした。

嫌な予感・・・
おじさんに大家さんを教えて頂き、訪ねてみました。
大家さんは、「すごく老朽化しているし、新規も募集していない」と
申し訳なさそうに教えてくれました。

IMG_0640.JPG
共同玄関から中を覗かせてもらうと、中には昔の小学校のような綺麗な木造の共同階段があり、とてもいい状態、雰囲気だっただけにがっくり、残念。

確かに老朽化している箇所も目に付きますが綺麗に使われていてそんなに痛んでいるようには感じませんでした。味を残したままより良く改修する事もできるはず!!しかし老朽化、新規募集しないとくれば解体。同じ路地の町家のおじさんも立ち退きとなると、路地全体が無くなってしまうのか…などなど想像し、また落ち込んでしました。みかんの木も切られてしまうのかなぁ…。名残惜しく(未練がましく)、その場を去りました…。


と、まぁ、話はこれだけでは終わりません!!


IMG_0642.JPG何か虫の知らせというのでしょうか、私にはもうひとつ気になっていた場所がありました。

これまた学校の近くの、平屋の長屋が並んだ路地。
通りがけにいつも見かけていて、どの家も私の大好きな木建具が並んでいたり、看板やランプなどの造作が手作り風味で、路地が土のままで緑が育っている感じもいいなぁ、素敵だなぁと思っていたのです。改めて見れば…ん?こんなに空部屋があったかな?空いているなら住みたいなぁ…

このさい勇気を出してノック・・・・話を聞いてみると…

え~!!!ここも6月で全員立ち退き???

なんということでしょう。なんなんでしょう。

お礼を言って、ふらふらとその場を立ち去り…立ち去りきれない!この悲しさ、無力感・・・。どうして私の好きな味のある路地は消えてしまうんでしょう。路地をまとめて更地にして、そのあと一体何が建つんでしょう。マンション?駐車場?そういう時期が来てしまったんでしょうか。

やっぱり私みたいなのは少数派意見なのか…。
私は一体どこに住んだらいいのか…。
この日感じたくやしさ、無力感、私は絶対忘れません!

町家見学①ドイツ式町家?!

去る12月7日、町家ゼミで学校の近くの町家を見学させていただくことに。

外観は高塀がそびえ立ち、立派な門構え。お屋敷のようです。
ここにお住まいのMさんは、ドイツ人。どのような経緯でここに住まわれたのでしょうか…。

さっそく中へ・・・門をくぐると、玄関がふたつ・・・。
ん?今まで勉強してきた細いうなぎの寝床とは違うような~・・・
廊下もあるし、階段も押入れの中じゃない・・・やっぱりお屋敷?!

よしやまち校舎も「中の下」と言われますが、
普段1列3室形のような一般的な町家ばかりに触れているせいか、
こういう格式高い大きな町家をみると緊張します。

そんなカチカチの町家ゼミ一同をMさんは笑顔でやさしく奥まで案内してくれました。
ほんの小さな玄関だけでも見所満点!
障子ひとつとっても、今では難しい編むような組み方にしてあったりと、
S先生の説明に一同感嘆。Mさんも日本の職人技に興味津々。

座敷を覗くと…
ファ、ファンタスティック!!(゜◇゜)!!これ、どうなってるんでしょう??

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なななんと、鴨居のうえにツリー用電飾が♪
ちょっとびっくりしましたが・・・襖の金の雲がキラキラ浮かんで・・・いいかも!!?
クリスマス前ということで、そこかしこに飾り付けがしてありました。
日本にはないクリスマスまでの過ごし方があるようで、リースやカレンダーの使い方を教えてもらい、みんな興味津々です。

置いてある家具にしろ、大きなソファーにしろ、一見町家には似合わないのでは?と思いそうなんですが
ここではダイニングテーブルもイスも、なぜかしっくり合っています。
座敷は天井も高いし、この広々とした家のスケールに合っているのかもしれません。

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二階にあがると手すりにヴォーリズを思わせるような洋風の木彫がついています。
踊り場の脇には小さな素敵な洋間が。Mさんはそこがお気に入りで書斎にされていました。
日本の古い木建具に外国製のデスクが似合って、とってもかっこいいなぁ~と思いました。

二階座敷は青灰色の土壁で、この色が暖色系の柱や長押の木の色と引き立てあうのだと聞き、
うーん、なるほどな~。日本ならではの綺麗な色合いです。

最後はみんなでちょっとした意見交流を。…緊張してなかなか言い出せません!

Mさんは京都の町家がどんどんビルやマンションに代わっていくことに心を痛めておられ、
いつか自分はドイツに帰るのだけども、この町家がどうなるのかとても気にされていました。

全国、全世界の人々が愛し、訪れる京都。その魅力はなんでしょう。
京都らしさだけでなく、ここには日本の原点があると期待して訪れる人も多いはず。
Mさんは年末年始に玄関先でお正月飾りを見る事が少なくなった事もさみしい、とおっしゃっていました。

そんなわけで、よしやまち校舎も年末あわててしめ飾りをつけました。
やはりつけてみると気持ちが良いもので、おめかししたよしやまち校舎も嬉しそうでした。
我らがよしやまち校舎ながら風格が漂います。馬子にも衣装?
忙しい中でも正月を迎える準備をすると、新しい気持ちになり、心がきりりと引き締まりますね。
Mさん、喜んでいただけたかな・・・。

初釜、無事終了!

先日よしやまち校舎にてお茶部による初釜が行われました。
当日朝からの奮闘記のレポートは本校ニュースレターにて!!↓↓
http://kyotokenchiku.blog.shinobi.jp/Entry/54/

3.JPG

新年!

ST330007001.jpg明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

短い冬休みが終わり、7日から授業が始まりました。
成人式まで里帰りしているのか、まだ顔が見えない遠方からの生徒もちらほら。

20日の初釜に向けて、残り二週間を切り、お茶部、猛特訓しております。
亭主を担当する学生二人は授業を抜け出し、お点前の自己練習…。「先生、公欠にしてよ~!」と叫んでいます。
外部の先生の指導の成果か、固かった動きもゆっくりとやわらかくなってきました。

手をついてお辞儀をするときも、道具を運び入れる時も、お湯を落とす時も、
お茶は空間!建築!間を見て、美しく!??

さぁ、どうなることやら…?

つたない私達ですが、テーマは「真心」。
当日はお菓子も手作りする予定です!がんばるぞ~!!

よしやまちが工務店に・・・

先日、よしやまちがドラマ「京都迷宮案内」の撮影に使われました!
今回のキーパーソンが大工という事で、町家校舎が工務店に変身・・・
中通路での撮影でした。

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↑取り付けられた看板と橋爪功さん           ↑放課後になると学生達も集まってきました

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↑偽の塀で作業場は目隠し。     ↑わ~、芸能人や~! ↑なんて言ってたらエキストラに!

橋爪さんはこの日も素敵な走りっぷりでした。
事務室のM川さんの噂によると、京都ではたびたび橋爪さんが町を駆け抜けているのが目撃されるそうです。

撮影を珍しげに見ていた学生も急遽エキストラ出演。果たして写っているのかな?

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